それくらい「楽境」は目や耳にすることが少ない言葉である。
苦境がわかるということは、一時的にでも楽境があったはず。だが、楽境の時に楽境を意識している人は珍しい。
「今、苦境に立っている」と人は言うこともある。
「今、楽境に立っている」とわざわざいう人は稀。
『苦境に立っている』
『苦境に立たされている』
そういえば苦境なのだから、座り込んだり、寝込んだりしそうなものなのだが、苦境を口にする時は、「立つ」と表現することが多い。本当にへたり込むようなほどの「苦境」では、苦境云々などと言う余裕もなくなるのだろう。
苦境でも(まだ)立てている…。ならばまだ手があるのかもしれない。
苦境というほど苦しくもない、楽境というほど安楽でもない日々。
苦境と楽境の「境目」。境目というには随分幅がありそうである。いや、小刻みに苦境と楽境に揺れているのがその境目なのか…?
今日はここまで。文責 江口
