『ドーナツの穴』≒意識していないもの、裏、機会損失、ホンネ、見えていないもの、認識していないもの…。
そんな意味合いで捉えてもらえればと思います。実際書きたいことを書いているので、テーマ通りには毎回いかないですが、そこはご容赦を…。
第194回は『合理的な人の集団であったとしても集団として合理的になりにくい理由を考える』その6
合理的な人が集まった集団なら、合理的な集団になりそうである。だが実際には、そう簡単には合理的な集団にはならない。その理由を考える。今回はその6回目……。
「同質、同類の集団ならば合理的になるか?」という話。結論から書けば、残念ながらそうはならない。同質、同類の人が集まっても合理的にはなりにくい。
共通の目的や理念があるような集団であっても、集団に属している中で、同質化が進む過程では合理的に進んでいるようでも、より同質化が進むと、合理性からは離れていく場合も少なくない。
同質の集団では、差異がより強調されるという事が起こるからだ。
集団としての合理性が高くなると、その合理性から外れた行動や個人がより目立つようになる。個々人の差異はそれほどではなくても、「差異があること」自体が強調されてしまう。そして、その「差異があること」が集団を維持する上での阻害要因と判断され、たとえ大勢に影響がなくても、その差異をなくそう、あるいは排除しようという非合理な行動が起こる。理念や目標を共有した集団であっても、同質化が進むと合理性から外れやすくなるのはそこにある。
『同質であることが目的化してしまう』
これが怖い。集団の目的は「同質であること」ではないはずなのに…。
どんな集団でも本来、集団の成長過程があり、その過程で集団は変質するものである。集団にも期限があるのだ。だが多くの人は集団に期限あることを忘れがちになることも少なくない。忘れていない集団は常に一定の新陳代謝を意識しているし、起こしている。※もちろん、結果的に起こることもあるのだろうが…
老舗のうなぎ屋などが、継ぎ足し、継ぎ足しで味を伝承するように、常に集団の構成員は入れ替わりながら、あるいは理念や目標を変えながら、集団としての形を継承していく…。
理念や目標を共有した集団の構成員は同質化しやすい。同質化した集団は、非合理的になりやすい。共通の目標や理念のない、単に同質な人を集めた集団ならなおさら非合理になる。※集団としての共通の目的や理念の少ない学校のクラスといった集団を思い出してほしい。
『まとまった瞬間に、まとまりを失い始める』≒『合理的になった瞬間から、非合理的になり始める』
これが集団の宿命である。だから息の長い集団は「新しい何か」を常に取り入れて、同質化の罠から抜け出している。同質化が進む中で、あえて異質なものを入れながら集団としての合理性を維持しているわけである。
次回に続く…。
「ドーナツ」=『合理的な人の集団であったとしても集団として合理的になりにくい』
「ドーナツの穴」=『集団は、「まとまった瞬間に、まとまりを失い始める」≒「合理的になった瞬間から、非合理的になり始める」』
今日はここまで。文責 江口

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