食がついているくらいだから、地球の影に満月が食われる…みたいなイメージがあったが、
「既」そのものにも、「食べつくす」とか「飲みつくす」とか「つきる」という意味がある。
面白いのは、
「既(き)」とか「既(すで)」とか読む場合は、物事が完全に起こってしまった後を意味するのに対して、
「既(すんで)に」と読む場合は、起きる直前、もうちょっとでことが起こりそうな状態を意味することもあることだ。
「既に」だと「すんでに」とも「すでに」とも読めるから厄介である。
「既に」だからかならず起きるとも限らないが、かなりの確率でおきるから「既に」を使う。結果起きなかったら「既に」のままだが、完全に起きた後なら「既に」となる。
さて、「すでに」か「すんでに」かどちらだろう?
それはともかく、食とか食いつくすとかいうニュアンスから、あまりポジティブなイメージは浮かばない。
そういえば、月食は月蝕(※常用外)と書いている場合もある。
少しづつ蝕まれる月…、こちらはいよいよポジティブなイメージではなさそうだ。
※気づけば既から食(蝕)に引きずられている。
しかも基本蝕まれているわけだから避けられないことが起きるイメージが強くなる。
日食も月食も避けられない。避けられない何かが、時間とともに迫ってくる。それが目視できる…。
確かに食より蝕の方がよりイメージに近いようにも思う。
※もはや完全に既から食(蝕)に引きずられている。
仕組みが分かっている天体ショーとして楽しむ現代なら、
皆既月食ではなく、むしろ『皆喜月飾』
という字がふさわしい気もしないでもない。
影に食われるより、影で飾られる。いまいちか……?
今日はここまで。文責 江口
