ランチもある程度落ち着いてきた時間帯、卓上の調味料を足している店員を見かけた。わざわざその1個の為に漏斗を使ったり、万が一こぼしたりしたら余計な仕事が増える。だから行為そのものは真剣である。
ところがその表情は、まるで入れ口の細さや、調味料の細長いたれ具合が乗り移ったような状態で、
無防備な、油断しきった表情である。
目は真剣だが、顔の下半分は、注いでいる調味料と同じくらい伸びている…。
差し込む光の中で「牛乳を注ぐ女」は絵になっているが、
暗がりで「調味料を注ぐ男」は絵にはならないようだ。
表題は、取り組むことには真剣に取り組みながら、そこの周囲に垣間見える無防備な隙や表情を油断としている。決して、取り組むことに対して油断するということではない。
真剣に取り組んでいる時の、注意がいかない箇所や表情が愛おしいのである。
そこは真剣に取り組んでいるほど、無防備で油断している…。
だから、油断素敵、油断大好きなのである。
今日はここまで。文責 江口
